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おたくまっしぐら
2024/05/20 (Mon)03:17
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2006/06/24 (Sat)22:54
不安とか焦りとか切なさとか、そういうネタが好きです。

たとえば、イザークがディアッカが自分以外の人間と楽しそうにしているのを見ると、不安になったり、いらだったり、落ち込んだり、みたいな。俺といるより楽しそうにするな! とかイザークは思いそう。ディアッカには、そういう嫉妬はあんまりなさそうだなあ。

そんなわけで、ディアイザ小ネタ。うまく消化しきれず、尻切れトンボは否めませんが。




深更、ディアッカは目を覚ました。
遠い昔のことを夢に見たのだ。
夜の静謐が、耳に痛い。
首を動かすと、隣のベッドがこんもりと盛り上がっているのが見えた。

イザークが眠っている。

安心して、ディアッカは天井を見上げた。



幼いころ、ディアッカは唐突に気づいた。

ひとは、明日にでも突然死んだりするって。

交通事故とか、天変地異とか、なにかわけのわからない厄災によって、突然命を失うことがあるのだ。

きょうは元気だったのに、明日はもういない。

そんなことが起こりうるって、いきなり解かった。


ぼく死んじゃうかもしれない…!

そう思うと、怖くて怖くて眠れなくなった。


ほとんど一睡もせず、ディアッカは翌朝、まだ家族も起きないうちに、家を飛びだした。

メトロに乗って、シャトルに乗って。
マティウス市に行った。
走って。走って。
まだ明けきらぬ夜に押されるように。

イザークの家は、何度か行っているので全く迷わなかった。

ジュール家のひとびとは、ディアッカの突然の来訪に驚いていた。

「おばさん、イザークは!?」
「え…、まだ寝ていると思うけど…」

勢い込んで2階へと続く階段を駆け上がって、ディアッカはイザークの部屋のドアをあける。

子供用のベッドのシーツが、こんもりと盛り上がっている。ふいごのように動いている生き物は、銀色の幼なじみだった。

よかった…。

イザークの寝顔を見て、ディアッカの小さな心臓は安堵に満たされた。
イザークのほっぺたに触れると、あたたかかった。

「ディアッカ…?」

掌が冷たかったのか、イザークが目を覚ます。青い瞳はまだぼんやりとしている。
「なん…だ…?」
「ううん…なんでもない。…眠いや…」

一睡もせず、自宅からここまでやってきた。イザークを見て安心して、疲れと眠気がどっと押し寄せてきた。
不安で不安で、メトロのなかでも、シャトルの中でも、ディアッカは誰もいない車内で立ったまま、ぎゅっと両手を握り締めていたのだ。

だからもう瞼が重くて……。

まだ眠そうなイザークが横にずれて、ディアッカにスペースをつくってくれたので、ディアッカはベッドに上がり、イザークのパジャマを握り締めて、するりと眠った。



そんな昔のことを夢で思い出した。

あのときから、ディアッカは同じ不安をときどき胸から取り出して、持て余す。
イザークと同じ時を共有する奇跡に感謝しているのに、不意に恐ろしくなる。

もしも…もしも…。
彼を失うようなことになったら…。


今夜もまた、一緒にいるからこそ逃れられない永遠の焦燥に胸を焼く。
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